乳癌に対するラジオ波焼灼療法を開始します
2024年08月13日
最近は、画像診断技術が進歩し、検診を受ける患者さんも増えたため早期で見つかる乳がんが特に増えています。早期乳がんの標準治療は、切除手術です。早期であれば、乳房を温存できる場合が多いですが、手術による体の負担や整容性のため、メスを使わない、切除しない治療法は、患者さんの要望も高く、実用化が望まれています。実際、小さながんを小さく切除するのは技術的には難しく、医師の側からも小さいがんに適した新しい治療法が望まれていました。
ラジオ波熱焼灼療法は、皮膚表面からがんに電極針を刺して、針から発生させたラジオ波(電磁波)の熱でがんを焼いて壊死させる治療法です。肝臓がんの標準治療の1つであり、保険適用されています。我が国独自の「切らない乳がん治療」の一つであるラジオ波焼灼療法が2023年12月に保険診療となりました。
ラジオ波熱焼灼療法の対象となる乳がんは、以下のとおりです。
・術前の画像診断で直径1.5cm以下
・針生検で浸潤性乳管がんもしくは非浸潤性乳管がんと診断
・触診および画僧診断で腋窩リンパ節に転移を認めない
・遠隔転移を認めない
早期乳がん―ラジオ波熱焼灼療法のメリット
・治療で受ける身体の負担については、手術でがんを切除する乳房温存療法に比べて、ラジオ波熱焼灼療法のほうが軽いといえます。乳房温存療法は、メスを使って切るため、切除範囲が小さくても術後は痛みがあります。
・乳房の変形についても、乳房温存療法ではがんを手術で切除するため、乳房が変形したり傷跡が残る可能性があります。一方ラジオ波熱焼灼療法は、傷も小さく、変形もほとんどありません。長時間経つと、左右どちらが治療した乳房なのかわからなくなるほどです。
ラジオ波焼灼療法を希望される方は、ぜひ当センターにご紹介いただいてください。